「みーおちゃん」


登校するなりそう声をかけてくれたリイちゃんは、私の席に座って猫のように机にゴロゴロと寝そべっている。


「おはよう、リイちゃん」

「おはよーん」


朝からご機嫌な様子のリイちゃん。何か良いことでもあったのだろうか。


「昨日、ハヤテちゃんとデートしたんだって?」

「えっ、なんで知ってるの?」


いや、もちろん入江くんからだってことはわかってるんだけど。


「昨日ハヤテちゃんがうちに来てたから聞いたのー」

「えっ、リイちゃんと入江くんって本当に仲良いね」

「家が近所っていうのもあって、ハヤテちゃんはうちのママとパパとも仲良しなの」


家族ぐるみでの付き合いっていうやつだろうか。


「で、リイは澪ちゃんの口からちゃんと聞きたいんだけどなぁ」


グロスでぷっくりと膨らんだ可愛らしいリイちゃんの唇が、ぷくっと小さな山を作った。


「昨日胸キュンしました」

「おめでとー!」


リイちゃんってば、可愛らしく私の胸に飛び込んで来た。

可愛すぎて思わず鞄の中に入れていたキャンディを差し出す。餌付けでもするように。

するとリイちゃんはそれを受け取って、口の中にポーンと投げ入れた。