街を歩くなよ子。


血走った目。


手をグーに握りしめて
なよ子は街を歩く。


大丈夫なはずだ。


なよ子は心の中で
同じ言葉を何回もつぶやく。


家の体重計では
確かに5キロ体重が落ちていた。


でも怖い。


員子の前で
体重計に乗るのが


とてつもなく怖い。


目の前で死んでいった
隣の人の映像が

頭の中にこびりついている。


なよ子の首には
禍々しい首輪が

黒く光っている。


全ての運命は
悪魔のような員子の


手のひらの上。


なよ子は
員子の元へ


行くしか道は残されていなかった。