直人に家の前まで送ってもらって帰ってきた家は電気の明かりしか、私を待っていなかった。




「...零さん」



もう、口にしていいのかすらわからない名前。



出会ってそれほど時間すら経ってないのに好きになるなんて

きっと私は頭がおかしいんだ。




初めてを奪われて、寂しさを埋めてくれた彼に
好きだと錯覚してるだけ...



そう思わなきゃ、零さんへの想いが溢れだしそうで嫌になってくる。


テレビをつけると楽しそうな笑い声が私の耳に入ってくる。


...零さんもテレビ見て笑ったりするのかな?


ていうか零さんは見た感じ冷たい人には感じなかった。
どちらかと言えば優しい人。




だけど...




あんなゴタゴタに巻き込まれるほどの人なんだから
きっとそこら辺にいる男とは違うのかもしれない。



喧嘩も圧倒的に強かったし
どちらかと言うと危ない人なんだろう...。



私みたいな普通の女子高生が、簡単に関わっちゃいけない人なんだろうけど



やっぱり零さんの事が気になって仕方がない。




つけたばっかりのテレビを消し、制服からフード付きパーカー姿に着替えて家を出た。




零さんを探しに。