零さんがクシャリと直人の茶色い髪を触ってその手をあげて横に振る。



「じゃあな。もうお前らに会うことはないと思う」



「...えっ?」



声が零れた視線の先に、彼の後ろ姿が薄暗い公園から消えていく。




何も教えてくれない



何も分からない



だけど一晩一緒に過ごした男は、私とは何もなかったとハッキリさせるように


その目で私を見て名前を教え合う事すらしなかった。





「...んだよあの男、俺のこと子供扱いしやがって...」



「...」





悔しそうな直人の隣で、ただただ彼のことを考えて暗くなった公園から出た。




出会うつもりなんかなかった


きっとあの時私が助けたことですべてが始まったなら





この恋は始まりとともに、すぐに終わりを迎えた。






平和な私の世界と零さんの世界。
一体その世界のどこに境界線があるのか




知ることすら...できないまま。