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その日の夜、いつものように部屋でくつろいでいるとベッドの上でスマホが鳴った。
時間は11時過ぎ。こんな時間に誰だろう……?
【着信 環奈】
それを見て手が止まってしまった。
きっと謝罪の電話だと思う。私たちが喧嘩をした時はいつだって先に環奈が謝る。優に早く仲直りしろって急かされたのかもしれないけど、今回のことは私に原因があるわけで。
ずっと環奈を避けてしまったし、ずっとこのままじゃダメだってわかってるけどまだどうしたらいいか答えが見つかってない。
……電話、出たくないな。
そもそも環奈がこんな時間にかけてくるなんて予想外だよ。9時以降に電話してるとうるさいっていつも言ってたし、あんまり遅い時間だとうちの家族にも迷惑だからって言ってたのに。
それだけ環奈を悩ませてしまったのかな。
『はい』
私は悩んだ末に小さな声で電話に出た。
いつもなら『美和っ』と犬のように吠えてくるけど環奈の第一声はやっぱり謝罪だった。
『……美和。ごめんね。まだ怒ってるよね?』
私がなにに対して怒ってるのか環奈はわかってないよね。
恋愛話が苦手なのにしてしまったとか、彼氏がいらないのに余計なことを言ってしまったとか、きっとそれで怒ってるといまだに思ってる。
『……環奈は悪くないよ。私が勝手に八つ当たりしただけだから』