薄いスマホを手に取り慣れた手つきでロックを開く。

通知が何個かあったけれど、読まずに消してしまった。

メッセージが1件、入っていた。


帰ってこいよってメールも何故か申し訳なくて返していない。
それを心配してるんだと思うけど。


吉野春。
故郷での幼馴染で、ずっと遊んでいた幼馴染。

私が仕事で上京した後もこまめに連絡を取り合っていた。


そんな春から、変なメールが来たのは多分一昨日。


『一ヶ月だけ俺にくれないか』


そういって添付された海の写真をみたら、断れる訳なくて。

会社には休業扱いにしてもらって、新幹線に飛び乗った。


携帯は、メッセージを見ないまま鞄にしまってしまった。