一瞬にして吹雪が掻き消えた。


剣を一振りした風圧だけで、吹雪と竜巻ごと、“妖の王”を吹き飛ばす。



「なんだと……!」


「すご……これが、聖剣アポロン……」



信じられない。ほとんど力を込めてないのに、どんだけハイスペックなの。


驚愕の想いで、自分が手にした剣を見つめる。


本来使用するはずのレンが、これに聖力を込めて使えば……、


どこまで強くなるのだろう。


ここに、治療ができる人材がいないことが残念だ。


だから……今は、私がこれで戦うしかない。



「なぜ……貴様が聖剣を使える、小娘!」


「一時だけの、主従関係だって」



まさか、魔族との主従契約が“あんなこと”だったとは。


簡易契約だって言ってたから、きっと緊急事態の手だったんだと思う。


だけど、それって……だああああ、もう!!



「とっとと命令してクダサイゴシュジンサマ!!」


「全力で行け!遠慮はいらない」