「大好き。」

「俺もだよ。」

「…本当に…?」

「あぁ、お前だけを愛してる。」

人気の少ない空き教室棟

社会資料室の前の廊下に響くのは、

私の大好きな人たちの声。

悠介と麻美の、


彼氏と親友の声。

甘い甘い台詞を囁き合う2人。

こんな場面に遭遇するのは、初めてじゃない。

いつの間にか、涙も出なくなっていた。

ただ出るのは乾いた笑い。

けど、何故だろう。

私の頬に伝う冷たい感触は、

私の頬を伝って、床へと滴り落ちた。


静かな廊下には、

リップ音が鳴り響いていて、

耳を塞ぎたくなる。

だけど、

教室には戻れない。

だって、

遡る事

10分前。