千代田区平川町界隈。

深夜、重苦しい足音が響く。

耕介が探偵事務所を構えるこの付近を徘徊するのは、マハルーチカの象男。

やはり彼は生きていた。

肉体が強靱なのか、それとも回復力が高いのか。

油を浴びせられて炎を放たれたというのに、火傷の痕は殆ど残っていないように見受けられる。

彼は警察の捜索の目を掻い潜りつつ、都内をひたすら逃亡。

再び蓮杖探偵事務所のある、この平川町にまで舞い戻って来ていた。

狙いは勿論、蓮杖探偵事務所に入り浸っている夏目 雛罌粟。

象男は、執拗なまでに雛罌粟に執着していた。