────…


午後0時すぎ。

いよいよ出発する時が来た。


鳳皇、獅鷹の傘下達は抗争の舞台となる西沢工場跡へと既に向かっていて、今倉庫にいるのは充くん率いる数十名と鳳皇幹部、そして獅鷹幹部だけ。


「みんな──」


「ハーイ、ストップストップ。りっちゃん、それはもう聞き飽きたから」


あたしの言いたい事が分かったのか、彼方があたしの頭をグリグリと撫で回しながらストップをかける。


「だって……」


そんな彼方に小さく零したあたしはむぅと不満げに唇を尖らせると、フイッと顔を逸らした。


……仕方ないじゃん。心配なんだから。



彼方の言う通り、あたしはさっきから何度も何度も同じ事ばかり言っていた。


“怪我しないで”から始まり、“みんな揃って帰って来てね”まで。


それはもう口煩いぐらいに何度も。



「凛音!心配しなくても俺等ぜってぇ怪我しねぇし!いや、ちょっとぐらいはするかもしんねぇけど。でも、ぜってぇ勝つから心配すんな!」


「陽……」


「そうだよ、凛音ちゃん。心配しないで。凛音ちゃんの為に早く帰って来るからね」


「い、壱さん……!」


ラブ!!


「だーかーら、何でお前はすぐ壱に抱き付こうとすんだよっ!」


「ん゙んん-!」


何で邪魔すんのよ馬鹿煌ー!!