私。七瀬 雪には、大好きな彼氏がいる。

名前は、佐藤 智也君。学年は私と同じ。
一見、茶髪で少しチャラそうに見えるのだが、とても優しく気配りがうまく、頭もいい。
更には、ピアスは怖くて開けられない。といったような可愛い一面まである。自慢の彼氏だ。

高校二年生。華のセブンティーンともいわれるような、青春真っ只中な私としてはとても充実した生活を送れて嬉しいのだが…

彼には一つ問題がある。

それは、彼が異常な程、私が他の異性と喋ることを嫌がるのである。

付き合い始めて間もない頃は、容姿端麗、秀外恵中な彼はやはりモテるわけで、寧ろ私のほうがヤキモチを妬いたりもした。


しかし、ある日。私が先生に雑用を、押し付けられたときのことである。

『はぁ…まだ半分残ってるよ…』

放課後、智也君には携帯で『今日は一緒に帰れない。ごめんね』と連絡を済ませたあとで、一人、黙々と修学旅行の資料をホッチキスでとめていた。

ガラッ

「あれ、七瀬さんまだいたんだ。」


教室に入ってきたのは、委員長だった。

「これって…修学旅行の資料だよね…?わぁ、やってくれてありがとう!
もともと、学級委員の仕事だし、僕も手伝うよ」

『あ、ありがとう!えーっと、これとこれを…』

その時の私は、早く帰りたかったので、一緒に作業をすることにした。