呼吸マスクが空気を送り込む音。
心電図の機械の音。
沢山の点滴、針が沢山刺され、跡になった痛々しい手の傷。
患者さんに話しかけるご家族。
娘さんが涙を流しながら何度も「お母さん」と呼んでいる。
その声は震えていた。
呼吸は徐々に浅くなり、心電図も乱れている。
血圧は正常とはかけ離れ、とても低い状態だった。


ーーーーこれはもう駄目かな。


超急性期の病院で実習を3度も行ってきた私は人の死に慣れてしまっていた。
人の死に対して何の感情も抱かない。