足には湿布と大げさな包帯。


体育祭で怪我したわけでもないのに手当してもらって悪いと思いつつ、そのまま救護本部の中で最後の種目を見ることになった。



「お待たせしました。いよいよラストの種目、選抜男子による色別対抗リレーです!!!!」



アナウンスがグラウンドいっぱいに響き、みんな総立ちで入場してくる選手を出迎える。


隼人と凌空の姿も見えた。



ドクンッ。


ふたりに対しての異なる感情で、胸の奥が大きく動いた。




あたしを救護本部へと連れてくると、凌空はすぐにそこを離れてしまった。


結局、何も聞けずに……。


……どうして、あんなこと……。



第一走者の凌空。


スタートラインに並ぶ凌空を直視できない。



"逃げて"

"ごめん"



そう言った凌空は、なにを思ってあんなことしたんだろう……。



まるで5年間前と同じ。


でも5年前と違うのは、お互いに恋人がいること……。


罪悪感が生まれる。


花音ちゃんにも、隼人にも……。



「位置について、ようい!」



パンッ!


空に放たれた乾いた音と共に、4人の選手が一斉に飛び出した。


さすがトップを任されるだけあって、どの選手も見事なロケットスタート。


コーナーを曲がり終えると、4人の距離に若干のばらつきが出始めた。


凌空は白組の人とほぼ同率1位で、次のコーナーを曲がっていく。