それからさらに数日後の放課後。
「よっし!」
伸びをひとつしてから自分に気合を入れた。
あたしの今日は、今から始まると言っても大げさじゃないから。
「お疲れの結良ちゃん、あんまり無理するんじゃないのよ?」
沙月があたしの席までやって来て、肩に手を乗せた。
そのままギュッギュッと揉みほぐされてあたしは悲鳴をあげる。
「ぎゃー、いてててっ……」
普段持たないような重いものばかり持っているせいか、肩もパンパンなんだ。
「お客さーん、随分こってますねー」
冗談めかしながらも続けてくれる沙月の指圧に、束の間の至福を感じる。
最初は痛かったけど、しばらくすると慣れて気持ち良く、目を閉じた。
「わ~、生き返る~」
「ふふっ、ババくさっ。ったくもー、体がこんなになるまで頑張って。ちょっとは自分の体と相談しながら仕事しな?無理は禁物!」
友達としてそう言ってくれるのは分かるけど、あたしは首を横に振った。
「ううん。いま無理しなかったらいつするんだって話なの。隼人や凌空と一緒に甲子園を目指せる夏は、今年しかないから」