5月も後半に差し掛かり、日差しはぐんぐんと強くなる。
グラウンドにくっきりと残る影を見つめがら、近づいてくる季節に焦りを募らせていると。
「隙アリッ!」
突っ立っている俺の脇腹を、凌空がつついた。
「…んだよ」
顔を少しだけ振って、凌空に視線を流す。
「反応うすっ!」
「ソコ強いんだよ」
くすぐられても凌空や結良みたいなリアクションは取れない。
だからやる方に徹してんだけど。
凌空は「つまんねーのー」と、言葉の割には白い歯を全面に見せながら俺の肩を抱くと、耳もとで言葉を落とした。
「切り替えろっての」
「……」
「どーせ、あの1球をうじうじうじうじ悔やんでんだろ」
……ああ。
引きずってるよ。