寒くて淋しいひとりの夜を過ごしだろう凌空は、昨日の言葉通りきちんと起きられたみたいで。


始業ギリギリに、野球部のメンバーと教室へ入って来た。



「おはよう」


「うーっす」


「朝ごはんちゃんと食べた?」



気になって、尋ねる。


あたしみたいに朝食を抜いたり、トースト1枚食べたとしても持つはずない。


まさかコンビニのおにぎり一個じゃ……



「矢澤家からご招待にあずかりました」



だよね。


戻ったってそのまま放っておくわけないか。


夜もきっと、隼人の家やうちで食べることになるんだろうな。


理由を知らなければ、『だったら隼人んちに住んでればいいじゃん』って突っ込むところだけど。



「そっか、なら良かった」



それ以上は口を噤む。


知らないふりをしろって言われてるから、言えない。



……帰ってきた理由、話してくれてもいいのに。


どうして隠すの?


……ちょっぴり、悲しいよ。