「花音ちゃん、こっちこっち~」



あたしは花音ちゃんを見つけ、大きく手をふった。



4月の中旬から、春季大会の県予選が始まって。


ちょうど2回戦の今日が日曜日にあたり。


これから花音ちゃんと一緒に、県営球場まで試合を見に行くことになったんだ。


待ち合わせは、球場の最寄駅。



「ごめんね、遅れて。電車の乗り換え間違えちゃって」


「大丈夫だよ、まだまだ時間あるし。それにしても今日めっちゃ暑いよね~」



応援は沙月と行くことが多いけど、京介くんのバスケの試合と重なっちゃって。


ひとりで行くつもりが、花音ちゃんが行ってみたいと名乗りを上げてくれたのだ。



「あたし、顔にバッチリ日焼け止め塗って来ちゃった」



花音ちゃんがそう言うように、4月だからって紫外線は侮れない。


今日はまさに野球日和な雲ひとつない青空。


空気はまだ涼しいけど、照りつける日差しはお昼を過ぎた今、ものすごく暑く感じた。