第2章星の町





「フィオネ。朝だぞ」



ようやく、少し聞き慣れた声がテントの中の私を起こす。



私は身体を伸ばしながら声のする方を見ると


私の隣には黄金の髪の少年が座っていた。




「おはよう。ゼロ。」




彼の方を見ながらそう言うと、
ゼロは地図を見ながら答える。





「次の町までは、まだかかりそうだな。今日は、頑張って歩いて、昼過ぎには町の近くにある森まで行こう。」





“次の町”か……!




初めて聞く、と言ってもいいほど
私には縁のない言葉だ。




私がゼロの相棒となった日から、私たちは闇町をでて、“ゼロの行きたい場所”へと、旅を始めた。





もうすぐ、出発から三週間が経とうとしている。





私はジェノバの家の丘から見える範囲の世界しか知らなかったから



ゼロと見る景色の全てが新鮮だった。




私は闇町が、国のどこに位置しているのかも知らなかった。




ゼロに見せてもらった世界地図には、国の外れの最西端に名もない町がたくさん載っていて



彼はこの中のひとつが私の住んでいた町だと言った。





「ゼロの行きたいところは最東端にあるのね。」




「あぁ。一回、国の中心にある都市部を通って、東に進もうと思ってる。」





都市部なんて見たこともない。


きらびやかな世界が頭に浮かんだ。