〝ワケあり荘〟。



それは、この全寮制の学園に通う生徒のうち、とある事情によって寮に住めない人が代わりとして住む場所。



学園から徒歩10分程度のところにある、小さな小さな木造建築アパートなのです。






「あ、ほら、あの子だよ。過去にない異例の転入生って噂の…」



「主席入学した人より成績がいいからって、学園長直々に奨学金もらってるらしいよ。あと、授業料全額免除だって……」



「すごいねー。なんかまるで、あたし達とは住む世界が違うっていうか……」



周りからの視線をひしひしと感じつつ、あたしは人気の少ない廊下を足早に歩いていた。


一抹の疎外感を感じつつも、心のどこかで仕方ないだろうと納得する。



だって……ね。


今まで普通の高校に通ってたヤツが、急にこんな金持ち高校に現れたんだもの。


しかも、学園長からの特別な支援を受けて。