「……は?」


須藤さん達は突然の大樹の登場に驚いた様子だったけれど、直ぐに顔をしかめて言った。


「お前、誰だよ。他人が軽々しく入り込んでくるな」


須藤さんもかなり恐い。

大樹と須藤さんの間には一発触発の張り詰めた空気が流れている。


「他人じゃないし。だからこれ以上花乃を悪く言ったら俺が許さないけど?」


言外に、それでもまだ文句あるわけ?って滲ませながら大樹が言う。


その冷ややかな迫力に皆が息をのみ、須藤さんも顔を歪めながらそれでも黙って立ち上がり、財布から一万円を二枚取り出し、テーブルの上に投げ捨てた。


「行くぞ」


須藤さんは同期の男性二人に言うと、彼等を従え、その場に居た皆を……主に私を睨んでから足早に店を出て行った。