その日の夜。


沙希に誘われて急遽飲みに出かけた。

月曜日だけど、須藤さんの件など話が沢山有るから丁度よかった。

残念ながら美野里は先約が有るとかで帰ってしまった。


三人で時々行くダイニングバーに入る。

カウンターから離れたフロアの端の丸いテーブルに座り、適当にカクテル系のお酒を頼む。


ジュースみたいに甘いお酒が私の好み。カシス系とかね。

沙希はもう少しあっさりお酒を好む。


ふたりなので遠慮なくそれぞれが頼みたいものを自由に注文し、愚痴を言いながら飲んでいると、何の断りもなく突然男性が沙希の隣の空いていた椅子に座った。


「えっ?」

何、この人?

勝手に入って来るなんて失礼な!


そう思いながらその厚かましい男性を睨んでみる。


あれ?見覚えの有る顔だ。


「こんばんは」


妙に色気の有る微笑み。
少し掠れた感じの低い声。