力の制御ができない蒼子は、今回もまた白玖の怪我のほとんどを自分の身体に受け入れた。
傷つき倒れた蒼子を、白玖は静かに見つめていた。




「白玖さまも、もうしばらくお休みください。傷がすべて治ったわけではないのですから」




吸い取りすぎる蒼子を止めるのは多々良の役目だ。
しかし、そのタイミングは難しく蒼子の方にかなり負担がかかっているのは事実だ。




「白玖さま・・・」

「うるさい。ほっておけ」




白玖は多々良の言葉を払いのけ、ただ蒼子を見下ろした。




「白玖さま、傷を直しすぐにでも天狗たちのもとに向かえば、奇襲がかけられます」

「・・・あの方がそう言ったのか」

「・・・っ」

「奇襲をかけてどうする。それで戦い傷を追ったら、またそれを蒼子に引き取らせるか?」

「それは・・・」





言いかけた言葉を飲み込み、多々良は口を固く結び俯いた。