講習会から一週間が経っても、胸のもやは晴れないし、ざわめきも治まらない。

それどころか、浅野さんと三木さんのことを考えてしまうばかり。

腹黒王子と無愛想美女……ビジュアル的には文句のつけようがないほどお似合いだ。

二人が並んだ姿を思い出して、気分が重く沈む。何故それを繰り返しているのか、自分が理解出来ない。


……この感じ、あの時と一緒だ。先輩と、晴菜が付き合っていると知った時。

仲睦まじいツーショットを頭に浮かべては涙を流していた。考えないようにしても、自然と思い浮かんでしまって。


その時と同じだなんておかしいよ。

私は、浅野さんのことを好きなわけではないのに。

好き、なんかじゃ──。



「だぁーもうっ! こんなことうだうだ考えてるなんて私らしくない!」


土曜日の休憩中、事務所のソファーでもそもそとお弁当を食べながらまた考えてしまっていた私は、テーブルに少々乱暴にそれを置く。

わしゃわしゃと頭を掻き回している最中、ソファーの斜め後ろに位置するドアが開いた。


「美玲ちゃん……シャンプーでもしてるつもり?」


商品の管理表が入ったバインダーを片手に、阿部さんがドアを開けたまま怪訝そうにこちらを見ている。

気まずさと恥ずかしさを感じつつ、私はへらりと笑った。