思わずドキッと鼓動が跳ねる。



晴斗はなぜかピタッと足を止めて、クルッと振り返った。



バチッと目が合ってうつむこうとしたけど、晴斗の瞳が悲しげに揺れているのを見てそらせない。



ねぇ……なんでそんな瞳をするの?


好きだって言った手前、気持ちがすぐに早苗さんに向いちゃったことを悪いとでも思ってるの?


あたしなら慣れてるから……。


別にいいのに。


悪いと思わないでよ。



もう……いいんだ。


諦めるから。


だから……晴斗が悪いなんて思う必要はない。


罪悪感を感じることなんてないんだよ。


しばらくすると、晴斗は前に向き直ってどこかへ行ってしまった。




「ごめん……あたし真田君とはやり直せない」



だって……あたしには。


他に好きな人がいるから。