「へぇ、矢野拓磨もやるじゃん」



「へへ、拓磨くんすっごくカッコよかったんだぁ~」



「ノロケるなっ!」



次の日、私は葵ちゃんに昨日のことを話した。
星司くんの正体も、拓磨くんと両思いになれたってことも、助けてもらったってことも。



「で、葵ちゃんはどうだったの?」



「え?」



「多田くんと放課後デートしてたんでしょ?」



「……は!?あんなの放課後デートじゃないっての!ただクレープ食べにいっただけ!」



私の問いかけに葵ちゃんは顔を真っ赤にして、慌てて否定する。



ふふ、葵ちゃんってば可愛いなぁ。
見ててこっちが幸せになるよ。



「もう、葵ちゃん照れちゃって~!昨日、熱いキッスしたじゃん?」



すると、どこからやってきたのか、多田くんが葵ちゃんに抱き付く。



「はぁ!?ウソ言わないでくれる!?」



「葵ちゃんこそ、ウソはダメだよ?葵ちゃんのほっぺについてたクリームを取るために俺がチュッてしたら、顔真っ赤にしてたくせに~」



「し、してない!!!」



……ダメだ。
完全に2人の世界に入り込んじゃってる。
この間に私は拓磨くんの席に……。


と、立ち上がって拓磨くんの席に向かおうとしたとき、誰かに肩を掴まれた。