「ママ」

あの告白から数年後、
オレたちは結婚して
子供が生まれた。

男の子が二人
女の子が一人。

オレを呼んだのは
今年四歳になる長女だ。

「どうした?」

また廉哉が起きないのか?

社会人になり、
仕事を始めた廉哉は
休日は中々起きてこない。

「パパがお布団から
出て来ないの」

やっぱりか。

「パパは疲れてるから
もう少し寝かせてあげような」

時計はまだ十時だ。

「わかった」

廉哉に似たのか
聞き分けがいい子に育った。

それから三時間後、
午後一時に廉哉は
起きて来た。

「おはよう」

もう午後だけどな。

「もう昼過ぎてるぞ」

聞いてるのか聞いてないのか
曖昧な返事をした後、
いきなりキスをして来た。

「おい、廉哉」

ったく、何時娘が来るか
わからないっていうのに
こいつはしょうがねぇ奴だな。

そんな所も好きなんだから
もう末期だよな……

こうして、オレたちは
家族になり
幸福に暮らしている。