午後になり、御園生がクラスにいるという時間を目がけて移動した。
 ポケットには弓道場で用意したメモが入っている。
 名前書いた、携帯の番号書いた、メールアドレスは携帯のとパソコンの両方書いた。これで準備は万端……。
 何を言えなくてもこのメモさえ渡せたら、一方的ではあるけれど、つながりを得られる気がしていた。

 時間になり御園生のクラスへ行くと、長い列ができていた。
「結構繁盛してるじゃん」
 ハルは言いながら試食に出されたクッキーを頬張る。十分ほど待って席へ案内されようというとき、
「かまっちゃん、あの子っ」
 ハルに言われて視線を移す。と、御園生が戻ってきたところだった。
「御園生、今戻ってきたの?」
 俺は御園生に訊いたつもりだったのに、ずい、と前に出てきたのは知らない美人だった。そして、後ろからやってきた男子も御園生の前に立つ。