「司に会いたいんだ?」
「……会えるのが普通だと思っていたら、全然違くて……」
「……なら、翠葉ちゃんから会いに行ってみたら?」
「私、から……?」
「そう。一年のときはランチタイムを一緒に過ごしてたんでしょう? 今度はそれを翠葉ちゃんから提案してみたらどうかな?」
「……迷惑、じゃないでしょうか」
「俺が司だったら嬉しいかな。好きな子と一緒にお弁当を食べられるのは嬉しいよ」
 秋斗さんはにこりと笑い、「がんばって」と頭を優しく撫でてくれた。

 夕飯を食べ終わり、お風呂に入りながら考える。
「自分から提案する、か……」
 自分から自分から自分から……ブクブクブク――。
 なんと切り出したらいいのかわからなくて、湯船に沈没してしまう。