『梨桜っ!』



人の命なんて、その家族なんて、

大切な人なんて、

昔は考えてもいなかった。





『…蘭、泣かないでよ。
うっ……』



毒はまだ消えないの?


梨桜の手を握り締めながら私は祈った。




殺人鬼だった私が今更何祈ってるんだろうね。


殺される人の気持ち、大切な人を殺された人の気持ちを考えないで人を指示通りのままにやってきた私が。



でも、ね。


私は梨桜が大切だから、


言葉に表せられないくらい、大切なの。


心から守りたいって思うの。


星華だからとかそんな理由なんかじゃなくて、ただ1人の男の子として私は梨桜を守りたいって、

助けたいって思うの……



だから、どうか……梨桜の毒が消えますように………





『…はぁ…蘭、ありがとう……
少し毒が軽くなったみたいだよ』



梨桜の優しい眼差しを見て私はホッとした。


よかった…順調にいきそう…




『梨桜………』



ずっと、ずっと、側にいてほしい。


今までと同じように、


私の側にいてほしい。




心からそう思った時、




毒の塊が梨桜の身体から消え去った。




『…────っ!

………梨桜っ!!』



私はそのまま梨桜に抱き付いた。


もう、変だよ、私。

梨桜のことになると自分を見失ったり、焦ったりして、心が不安定になっちゃう……



そのくらい、私の心に梨桜が入ってるんだよ……