この国のどこかにある遥華(はるか)市。



 自然豊かで、まさに平和の2文字が似合いそうな市。




 


 この市で今、連続通り魔事件が起こっていた。



 被害者は皆、元が誰だったのかわからないほど無残な姿で発見されている。



 警察は犯人を捜すも、手掛かりは見つからない。



 指紋は勿論、髪の毛さえも残さない完璧な犯罪だからだ。







 警察は手を焼くが、市民はその犯罪者のことをヒーローと崇めていた。



 殺された人たちは皆、人々から憎まれていた人たちばかりだから。






 ある人は学校でのいじめの主犯。



 ある人は詐欺グループのリーダー。



 またある人はブラック企業の社長。





 そんな人たちがいなくなったのだ。



 人は犯人をヒーローと崇めるだろう。