不思議と、会えない間に募った不安は、コードが繋がり、あんなにふっくらしていた頬がこけたその姿だったが、葉月からは吹き飛んでいた。


代わりに溢れたのは、柔らかな薔薇の花弁よりも香り立つ愛しい想い。


純白の空間にぽつりと孤独に眠る金石に、葉月はゆっくり、ゆっくりと歩み寄る。


「金石、あの……あの日、な?俺、ち、ちゃん、ちゃんとかっ、勝った……よ?」


何を言えば良いのか分からなかった葉月は、たどたどしく、震える声で音を紡ぐ。


「な……だから、好きだって、好きだって言わせてくれよ。だき、抱き締め、さ、せて、よ……!」


勿論葉月の言葉へ返事はない。しかし、ぎゅっと握った手には確かに温度があった。


そして、微弱だが、彼女の手は意思があるように、葉月の手を握り返したのだ。


生きている。金石は、確かにここにいるんだ。


葉月は彼女への愛しさに包まれて、不謹慎だという気持ちを抱く余裕もなく、彼女に会えたことに、ただただ笑顔になった。