航太は家の中を見回すと、奥の部屋に別の戸がある事に気づいた。




『裏戸を上手く利用して、二人を逃がして近くの奉行所に通報して……いや、それじゃ返って二人が危険や……例え上手く奉行所に行けたとしても、勘三郎達の話を聞いてくれる可能性は零に近い………どないしよ…………ん?………そう言えば………』




航太の脳裏に昼間の盗人を奉行所に連れて行った沖田の存在を思い出した。






『僕の名は沖田総司……君みたいな子は初めてだよ!それじゃまた、【屯所】でね?』





『………屯所………新撰組の屯所かぁ、ここからかなり距離はあるな………でも、俺が囮になれば二人は新撰組の屯所に逃げ込める、俺の名を出せば、もしかしたら新撰組の人達が二人を保護してくれるかもしれへん……よしっ!一か八か……これに賭けるしかないっ!?』





航太はすぐに敬助と勘三郎に駆け寄った。




「勘三郎!敬助!
話があんねん!聞いてや!」




航太の真剣な表情に勘三郎と敬助は聞き入った。




「ええか?この奥の部屋に別の戸があるんや、俺がここの戸から出て時間を稼ぐからその隙に二人は奥の部屋のから逃げ出すんや!」




航太の発案に勘三郎が驚愕して珍しく声を上げた。




「航太を囮にして俺らだけ逃げろって?そんなん御免や!「それだけちゃうっ!?」」




勘三郎の言葉を航太は遮り、話を続けた。




「二人に頼みがある言うたやろ?
裏から無事に出たら壬生寺を目指して欲しい!ほいでその隣近所に新撰組の屯所があるんや!」




「しっ、新撰組……」




引きつる敬助の顔を見ながら航太は口を開く。




「あぁ、その屯所に行って新撰組の人達にこの事を伝えて欲しいねん!」




航太の真剣な表情に敬助は狼狽えながら答えた。




「せ、せやけど!やっぱお前を置いて行けんよ!」